2010-12-03

84年前の今日は?

推理作家アガサ・クリスティが自宅を出たきり失踪。11日後に発見される

アガサ・クリスティ失踪事件とは、ロンドン近郊の田園都市サニングデールに住んでいたアガサ・クリスティ(当時36歳)が1926年12月3日、自宅をでたまま行方不明となった事件を指す。これが推理小説の歴史に名を残す大事件、すなわち Agatha Eleven Missing である。事件は11日後に保養地のホテルに別人名義で宿泊していた彼女が家族の確認の上で保護されることで決着した。
なぜ失踪したのかについては諸説あり伝記作家もこの件については筆を大きく割いているが自伝では事件について触れていない。しかしこの事件の結果としてマスコミに喰いものにされたアガサが心に傷を負った点、そしてこれ以降のアガサの内面世界は徐々に変化を見せた点は諸子一致している。
特に別名義で書かれた小説群は女性の孤独、愛することの傲慢さ、残酷さが見事に表現されて多くの女性の読者を集め、中でも奇跡的な容姿を備え家族にも恵まれた女性がたどる内面の旅を描いた『春にして君を離れ』(早川書房、中村妙子訳)は日本を含めた世界でロングセラーとなっている。
事件に戻ると、当時のアガサはロンドンの金融街で働いていた年下の夫のアーチー、一人娘のロザリンド(当時7歳)と田舎の大邸宅で暮らしていた。アーチーは休日はゴルフに熱中しているが、妻はゴルフはせず家事はメイドを雇い、仕事に関しては秘書のシャーロットを住まわせていた。シャーロットはアガサの信頼を得て長く彼女の側で勤めることになる。
キャリアにおいては『アクロイド殺人事件』(1926年)によりベストセラー作家の仲間入りを果たす一方で事件の前には最愛の母親を亡くし、また夫には別に恋人がいた事実にアガサは傷つけられていた。事件の起きた日、アガサは住み込みのメイドに行き先を告げずに外出する旨を伝え、当時は珍しかった自動車を自ら運転して一人で出かけている。その際に彼女は秘書のシャーロットと夫に手紙を残している。
なお、この失踪事件を題材に独自の解釈でアガサをめぐる人間模様を描いた映画『アガサ 愛の失踪事件』が1979年に公開された。

アガサ 愛の失踪事件 [VHS]


アガサ 愛の失踪事件 (文春文庫)

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